【徹底比較】『梨泰院クラス』と『六本木クラス』は結局どっちが面白い?

社会現象を巻き起こした韓国ドラマ『梨泰院クラス』と、その日本版リメイク『六本木クラス』。原作ファンやドラマ好きの間で「結局どっちが面白いの?」という疑問は尽きません。どちらの作品にも独自の魅力があり、単純な優劣をつけるのは難しいのが正直なところです。

そこでこの記事では、両作品をあらゆる角度から徹底的に比較分析します。物語の構成からキャラクターの魅力、演出の違いまでを深く掘り下げることで、あなたが本当に観るべきなのはどちらの「クラス」なのか、その答えを導き出します。この記事を読めば、両作品の本質的な違いが明確になり、あなたの好みに合った最高の視聴体験を選択できます。

タップできる目次

『梨泰院クラス』と『六本木クラス』の基本情報|あらすじと違い

両作品の比較に入る前に、物語の根幹となる基本情報を整理しておきましょう。原作やあらすじは共通していますが、設定にはいくつかの重要な違いが存在します。

原作は韓国の大人気Web漫画

『梨泰院クラス』と『六本木クラス』の原作は、チョ・グァンジンによる韓国のWeb漫画です。このWeb漫画が韓国で爆発的な人気を博し、ドラマ化に至りました。

ドラマ『梨泰院クラス』は、原作の持つ熱量やメッセージ性を忠実に映像化し、韓国国内のみならず世界的な大ヒットを記録します。この成功を受けて、日本を舞台にリメイクされたのが『六本木クラス』です。

両作品のあらすじ

物語の骨子は両作品で共通しています。不合理な世の中に信念を貫いて立ち向かう一人の青年が、巨大な権力によって父の命と自身の人生を奪われます。

数年の時を経て、彼は国際色豊かな街に小さな居酒屋を開店します。そこで出会った個性的な仲間たちと共に、業界のトップを目指しながら、自分をどん底に突き落とした宿敵への壮大な復讐を誓う、という下剋上ストーリーです。

話数や舞台の違い

両作品の最も分かりやすい違いは、話数や舞台設定です。これらの違いが、物語のテンポや雰囲気に大きな影響を与えています。

属性『梨泰院クラス』『六本木クラス』
制作国韓国日本
放送年2020年2022年
話数全16話全13話
平均放送時間約60-70分約50分
主な舞台ソウル・梨泰院(イテウォン)東京・六本木
主人公の店名タンバム(甘い夜)二代目みやべ

『梨泰院クラス』の方が全体の話数が多く、一話あたりの時間も長いため、物語をより深く、丁寧に描く構成になっています。一方で『六本木クラス』は、物語を凝縮し、スピーディーな展開を重視している点が特徴です。

物語の面白さを徹底比較|5つのポイント

ここからは、物語の面白さを左右する5つの重要なポイントに絞って、両作品を徹底的に比較していきます。それぞれの作品が持つ独自の魅力を深く掘り下げていきましょう。

比較ポイント1|物語のテンポと深さ

『梨泰院クラス』は全16話という長さを活かし、主人公パク・セロイの15年にわたる復讐劇をじっくりと描きます。脇役一人ひとりの背景や心情の変化、サブプロットにも時間を割くことで、物語全体に圧倒的な深みとリアリティを生み出しています。視聴者はセロイたちの苦悩や成長を共に体験し、深い感情移入を促されます。

対して『六本木クラス』は全13話に凝縮されているため、展開のテンポが非常に速いです。このスピード感は「観やすい」「サクサク進む」というメリットにもなります。しかしその反面、キャラクターの感情を積み重ねるための重要なシーンが省略されがちで、物語がダイジェストのように感じられる瞬間があるのも事実です。私が感じたのは、原作の感動的なシーンに至るまでの「過程」が省略されることで、感情的な共感が少し薄れてしまうことがある、という点でした。

比較ポイント2|登場人物の魅力とキャストの演技

物語の核となる登場人物たちの描写は、両作品で大きく印象が異なります。これは俳優の演技スタイルと演出の違いによるものです。

主人公|パク・セロイ vs 宮部新

『梨泰院クラス』のパク・セロイ(パク・ソジュン)は、寡黙ながらも内に燃えるような情熱と不屈の精神を秘めたカリスマです。その瞳には、絶望と希望、そして揺るぎない信念が宿っています。パク・ソジュンの繊細な表情の変化は、セロイの複雑な内面を見事に表現し、多くの視聴者を魅了しました。

『六本木クラス』の宮部新(竹内涼真)は、より実直で誠実な「好青年」という印象が強いです。信念の強さは共通していますが、セロイが持つ生々しいほどの迫力や危うさは抑えられ、マイルドなキャラクターとして描かれています。竹内涼真の演技は、復讐に燃える男の狂気よりも、彼の人の良さを際立たせています。

ヒロイン|チョ・イソ vs 麻宮葵

『梨泰院クラス』のチョ・イソ(キム・ダミ)は、ソシオパス的気質を持つIQ162の天才という、強烈な個性を持つヒロインです。予測不能な行動と、セロイへの絶対的な献身が同居する彼女の魅力は、キム・ダミの圧倒的な演技力によって爆発しました。彼女の存在が、物語に起爆剤としての役割を果たします。

『六本木クラス』の麻宮葵(平手友梨奈)は、原作のイメージに合ったクールなビジュアルと存在感で、キャスティングは高く評価されました。平手友梨奈は、葵の持つ孤高の天才という雰囲気を上手く表現しています。ただ、イソが持つ内面の脆さや人間臭さよりも、計算されたクールさが前面に出ている印象を受けます。

宿敵|チャン・デヒ vs 長屋茂

私が考える両作品の最も決定的な違いは、宿敵の描き方です。

『梨泰院クラス』のチャン・デヒ(ユ・ジェミョン)は、冷徹で計算高く、絶対的な権威を持つ巨悪として君臨します。彼は単なる悪役ではなく、貧困から這い上がった自身の哲学を持つ怪物です。その圧倒的な存在感が、セロイの復讐劇に途方もない重みを与えています。

一方、『六本木クラス』の長屋茂(香川照之)は、非常に演劇的で感情豊かな悪役として描かれました。香川照之の表現力豊かな演技は記憶に残るものでしたが、多くの視聴者がドラマ『半沢直樹』を想起させ、シリアスな場面でさえコミカルに見えてしまうという賛否両論を巻き起こしました。この違いにより、物語の緊張感が大きく変わってしまった点は否めません。

比較ポイント3|舞台設定が与える印象

『梨泰院クラス』の舞台である梨泰院は、多国籍な文化が混ざり合う、多様性と活気に満ちた街です。この街の持つ「自由」と「混沌」の雰囲気は、社会から疎外された主人公たちが自分たちの居場所を見つけるという物語のテーマと完璧にシンクロしています。梨泰院という街自体が、もう一人の主人公と言えるでしょう。

『六本木クラス』は、舞台を日本の高級繁華街である六本木に移しました。洗練されたオフィスビルや高級レストランが立ち並ぶ六本木は、原作の持つ雑多なエネルギーとは対照的です。これにより、物語は「社会の周縁からの反乱」から、「資本主義の中心地での権力闘争」へと、その趣を変えています。

比較ポイント4|演出と映像表現

映像の作り込みにおいても、両作品には違いが見られます。『梨泰院クラス』は、映画のようなスタイリッシュなカメラワークや編集が特徴で、物語の疾走感を高めています。Gahoが歌う主題歌「Start Over」をはじめとするサウンドトラックは、ドラマの感情的な盛り上がりと不可分に結びつき、それ自体が社会現象となりました。

『六本木クラス』の演出は、日本のテレビドラマとして非常に丁寧な作りです。しかし、原作の持つ象徴的な演出が一部変更されている点も見受けられます。例えば、原作で対照的な性格を示すためにヒロインと悪役の息子が頼む飲み物(ホットとアイス)が、リメイク版では同じ飲み物になっているなど、細かな演出の違いが物語のニュアンスを変えています。

比較ポイント5|クライマックス(結末)の違い

物語の結末、特に復讐の象徴である「土下座」の扱いは、両作品の哲学的な違いを最も明確に示しています。

『梨泰院クラス』では、15年をかけた復讐が、宿敵チャン・デヒに完全な屈辱を与える「土下座」によって完遂されます。これは、権力者が犯した罪を認め、虐げた者の前でひれ伏すという、道徳的で感情的な勝利を描くカタルシス溢れる結末です。

しかし、『六本木クラス』の結末は大きく異なります。長屋茂が土下座をしようとする瞬間、主人公の新はそれを制止し、「これはビジネスです」と突き放します。ここでの勝利は、企業の買収という経済的な合理性によって達成され、個人的な感情による復讐は否定されます。この結末の変更は、復讐の意味そのものを問い直すものであり、視聴者の間で大きな議論を呼びました。

【結論】結局どっちが面白い?|おすすめな人をそれぞれ解説

最終的にどちらの作品が面白いかは、視聴者がドラマに何を求めるかによって決まります。あなたの好みに合わせて、どちらの「クラス」に入学するかを選択しましょう。

『梨泰院クラス』がおすすめな人

以下のような方には、オリジナルの『梨泰院クラス』を強くおすすめします。

  • 骨太で重厚な物語をじっくり楽しみたい人|キャラクターの心理描写や背景が丁寧に描かれ、深い感動とカタルシスを味わえます。
  • 俳優陣の魂を揺さぶる演技を堪能したい人|カリスマ的な主人公と、真に恐ろしい悪役が織りなす演技の応酬は圧巻です。
  • 物語の持つ本来のテーマや熱量を体感したい人|社会への鋭いメッセージや、登場人物たちの生々しい感情のぶつかり合いに心を揺さぶられたいなら、こちらを選ぶべきです。

『六本木クラス』がおすすめな人

一方で、以下のような方には『六本木クラス』がフィットするでしょう。

  • テンポの良い展開でサクッと物語を追いたい人|話数が短く、展開もスピーディーなため、忙しい方でも観やすい構成です。
  • 日本の人気俳優たちの演技を楽しみたい人|竹内涼真や平手友梨奈、新木優子といった日本のキャストが、あの物語をどう演じるかに関心がある人におすすめです。
  • 『梨泰院クラス』への入門編として観たい人|まずリメイク版で物語の大筋を掴んでから、より深みのあるオリジナル版を観る、という楽しみ方も一つの選択肢です。

まとめ

『梨泰院クラス』と『六本木クラス』を比較すると、両者は同じ設計図から作られながらも、全く異なる魅力を持つ作品であることが分かります。

『梨泰院クラス』は、キャラクターの深い内面描写、社会への鋭いメッセージ、そして俳優陣の圧倒的な熱演が融合した、心に響く長編小説のような傑作です。一方で『六本木クラス』は、その壮大な物語を日本の文脈に合わせて再構成し、テンポ良く楽しめるエンターテインメント作品に仕上げた、要点をまとめた脚本のような魅力があります。

どちらが優れているかという問いに唯一の答えはありません。感情的な深みと重厚なカタルシスを求めるなら『梨泰院クラス』を、スピーディーな展開と日本のキャストによる新たな解釈を楽しみたいなら『六本木クラス』を選ぶのが良いでしょう。この記事が、あなたの最高のドラマ体験への道しるべとなれば幸いです。

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