一度は食べたい!韓国・東大門発祥「タッカンマリ」の美味しい食べ方と最強のタレ

タッカンマリは、韓国ソウルの東大門(トンデムン)が発祥とされる、鶏一羽を丸ごと煮込んだシンプルな鍋料理です。私がこの料理に初めて出会った時の衝撃は、今でも忘れられません。透き通ったスープに鎮座する鶏、そして湯気と共に立ち上るニンニクの香り。

一見すると日本の水炊きにも似ていますが、タッカンマリの真髄は「食べる人が自分で味を完成させる」点にあります。この記事では、タッカンマリの基本から、私がたどり着いた最強のタレの作り方、美味しい食べ方の全ステップを徹底的に解説します。

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タッカンマリとは?ソウルの魂が宿る鶏一羽鍋

タッカンマリは、知れば知るほど奥深い、韓国の食文化を体現する料理です。その魅力を解き明かします。

鶏一羽を丸ごと煮込むシンプルさの極み

タッカンマリ(닭한마리)とは、韓国語で「鶏一羽」をそのまま意味します。その名の通り、大きな鍋に丸鶏と、ジャガイモ、ネギ、トック(韓国餅)などを入れ、ニンニクたっぷりのスープで煮込むのが基本スタイルです。

最大の特徴は、スープ自体にはほとんど味付けがされていないことです。鶏から溶け出した純粋な旨味とコラーゲン、ニンニクの風味だけで構成されています。この究極のシンプルさこそが、後述する「タレ」の威力を最大限に引き出す秘密です。

赤くて辛いだけじゃない!韓国料理の奥深さ

多くの人が韓国料理と聞くと「赤くて辛い」イメージを思い浮かべるでしょう。しかし、タッカンマリはその固定観念を覆す、辛くない料理の代表格です。

優しい鶏の出汁は、刺激が苦手な人や子供でも安心して楽しめます。もちろん、辛さが欲しい人は自分で作るタレでいくらでも調整できます。この懐の深さも、老若男女問わず愛され続ける理由です。

タッカンマリとサムゲタンの違い|似ているけど全く別物

「鶏一羽」と聞くと、サムゲタン(参鶏湯)を連想する人も多いはずです。これらは見た目こそ似ていますが、目的も味も全く異なる料理です。私がよく説明に使う、二つの違いを表にまとめました。

属性タッカンマリサムゲタン(参鶏湯)
料理スタイル複数人で囲む鍋料理一人前ずつのスープ料理
味の方向性鶏とニンニクのシンプルな出汁高麗人参やナツメの薬膳風味
味付け食べる人がタレで調整するスープ自体に味がついている
主な具材ジャガイモ、ネギ、トック(餅)鶏のお腹にもち米、漢方食材
食べ方鍋を囲み、シメまで楽しむ一人一羽を食べ切る

簡単に言えば、タッカンマリは「みんなで囲む鶏鍋」、サムゲタンは「滋養強壮のための薬膳スープ」です。

これが本場の流儀!タッカンマリの美味しい食べ方ステップガイド

タッカンマリの美味しさを最大限に引き出すには、食べる順番が重要です。私がいつも実践している、本場の流儀に沿った食べ方をステップごとに紹介します。

ステップ1|鶏肉が煮えるのを待つ時間

鍋がテーブルに運ばれてきても、すぐに食べてはいけません。多くの場合、鶏肉はまだ火が通っていない状態で提供されます。

店員さんがキッチンバサミで鶏を豪快に切り分けてくれるので、それを見ながら待ちます。スープが沸騰し、鶏肉にしっかり火が通るまで、数分間は我慢の時間です。この間に、次のステップである「タレ作り」を行います。

ステップ2|自分だけの「最強のタレ」を調合する

タッカンマリの主役は、鍋ではなく「タレ」です。テーブルに置かれた調味料を使い、自分好みの味を作ります。

このタレ作りこそが、タッカンマリ最大の楽しみです。基本的な調味料は、醤油、酢、カラシ、そして唐辛子ペースト(タテギ)です。この調合については、次の見出しで詳しく解説します。

ステップ3|具材をタレにつけて味わう

鶏肉やジャガイモに火が通ったら、いよいよ実食です。煮えた具材を箸で取り、ステップ2で作った特製のタレにたっぷりと浸して食べます。

鶏の旨味が凝縮されたシンプルな具材と、酸味・辛味・旨味が一体となったタレが口の中で出会う瞬間は、まさに至福です。途中で鍋のスープをタレに少し加え、味の濃さを調整するのも通のテクニックです。

ステップ4|至福の「シメ」はカルグクスか雑炊で

鶏と野菜の旨味がすべて溶け出したスープを、そのまま残すのは絶対にいけません。タッカンマリの第二の主役は「シメ」です。

定番は「カルグクス」と呼ばれる韓国風うどんです。麺が黄金色のスープを吸い込み、最高の味わいになります。ご飯を入れて「チュッ(雑炊)」にするのも絶品です。私はいつも、カルグクスを選んでしまいます。

秘伝公開!私がおすすめする「最強タレ」の黄金比

タッカンマリの味はタレで決まると断言します。ここでは、私が長年の経験から導き出した、東大門の味に近づける「最強タレ」の黄金比を公開します。

基本のタレ|東大門の味を再現する調合

この比率さえ覚えておけば、どの店に行っても、あるいは自宅で作る時も、本場の味を再現できます。

  • 醤油|大さじ2
  • 酢|大さじ2
  • カラシ(韓国カラシがベスト)|小さじ1
  • 唐辛子ペースト(タテギ)|小さじ1〜2(お好みで調整)
  • おろしニンニク|たっぷり(小さじ1以上)

これが基本の黄金比です。酸味と辛味のバランスが絶妙で、鶏肉の旨味を引き立てます。

アレンジタレ|通が教える味変テクニック

基本のタレに、さらに薬味を加えるのが本場流です。このひと手間で、味が格段にレベルアップします。

  • 千切りキャベツを加える多くの専門店では、タレ用の薬味として千切りキャベツやニラが用意されています。これをタレにどさっと入れ、タレに浸してシャキシャキの状態で具材と一緒に食べます。
  • 鍋のスープで割るタレが濃すぎると感じたら、鍋の熱いスープを少し加えてみてください。味がまろやかになり、スープの旨味もプラスされます。

自宅で挑戦!簡単タッカンマリレシピ

タッカンマリは、実は自宅でも驚くほど簡単に作れます。丸鶏が手に入らなくても、骨付きの鶏肉を使えば本格的な味が出ます。

用意する材料|丸鶏がなくても大丈夫

(2〜3人前)

  • 鶏肉(骨付きもも肉、手羽元など)|約600g
  • ジャガイモ|2個
  • 長ネギ|1本
  • ニンニク|4〜5かけ(潰すか、みじん切り)
  • トック(韓国餅)|お好みの量
  • 水|1.5リットル

簡単な作り方|手軽に本場の味を再現

難しい工程は一切ありません。具材を入れて煮込むだけです。

  1. 鍋に水、鶏肉、潰したニンニクを入れて中火にかけます。
  2. 沸騰したらアクを丁寧に取り除き、弱火にして15分ほど煮込みます。
  3. 皮をむいて輪切りにしたジャガイモと、トックを加えます。
  4. ジャガイモが柔らかくなるまで、さらに5〜7分煮込みます。
  5. 最後に斜め切りにした長ネギを加え、さっと火が通ったら完成です。

食べる時は、もちろん「最強のタレ」を各自で作って楽しみます。シメのカルグクスも忘れずに用意してください。

まとめ

韓国・東大門発祥のタッカンマリは、鶏の旨味をシンプルに味わい尽くす、奥深い鍋料理です。その美味しさの鍵は、自分で作る「タレ」にあります。

赤くて辛い韓国料理とは一線を画す、優しいながらもパンチのある味わいは、一度食べたら誰もが虜になるはずです。この記事で紹介した食べ方とタレの黄金比を参考に、ぜひ本場の味を体験してみてください。

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