韓国旅行の準備中、「iPhoneの充電器はそのままコンセントに挿せる?」という疑問は誰もが持つものです。電圧が日本と違うと聞いて、高価なスマートフォンが壊れないか心配になるかもしれません。私が実際に現地で確認した結論を言うと、iPhoneの充電に「変圧器」は全く必要ありません。
ただし、絶対に準備しなければならないものが一つだけあります。それはコンセントの形を合わせる「変換プラグ」です。この記事では、なぜ変圧器が不要なのか、どんな変換プラグを選べばよいのか、もし忘れたらどうするか、現地での充電事情まで、あなたの不安をすべて解消する情報をお届けします。
韓国と日本の電気システム|根本的な3つの違い
韓国と日本の電気環境には、見過ごせない3つの大きな違いがあります。これが、日本の充電器をそのまま使えない理由です。
なぜそのまま挿せない?|プラグ形状(Aタイプ vs C/SEタイプ)
日本国内の電圧は100Vで、コンセントプラグは2本の平たい刃が平行に並ぶ「Aタイプ」が標準です。一方、韓国の電圧は220V、周波数は60Hzで統一されています。
電圧の違いは後述する理由で問題ありませんが、最大の課題はコンセントの物理的な形状です。韓国では2本の丸いピンを持つ「Cタイプ」と「SEタイプ」が主流です。日本の平刃Aタイプとは形が全く異なるため、物理的にコンセントに差し込めません。
CタイプとSEタイプの違いとは?|最適なプラグ選びの鍵
韓国で使われるCタイプとSEタイプは、見た目が非常によく似ていますが、決定的な違いがあります。この違いを知らないと、充電が不安定になるリスクがあります。
- Cタイプ|ピンの直径が約4.0mm。古い建物などで見られます。
- SEタイプ|ピンの直径が約4.8mm。現在の韓国で最も普及している標準規格です。
問題は、細いCタイプのプラグを主流のSEタイプコンセントに挿した場合です。差し込めはするものの隙間ができ、接続が不安定になります。アダプタの重みで抜け落ちたり、接触不良で充電が止まったりすることが頻繁に起こります。したがって、「SEタイプ対応」と明記された、コンセントにしっかり固定できる製品を選ぶことが重要です。
項目 | 日本 | 韓国 |
---|---|---|
電圧 | 100V | 220V |
周波数 | 50Hz / 60Hz | 60Hz |
主要プラグ形状 | Aタイプ(平刃2ピン) | Cタイプ & SEタイプ(丸ピン2ピン) |
iPhoneに「変圧器」が不要な理由
韓国の電圧が220Vと聞いて不安になる気持ちは分かりますが、iPhoneの充電に関してその心配は無用です。
Apple純正アダプタは「世界仕様」
あなたのiPhoneに付属しているApple純正のACアダプタ(充電器本体)をよく見てください。「入力|100-240V 50/60Hz」といった小さな文字が印字されているはずです。これは、このアダプタが100Vから240Vまでの電圧に自動で対応する「ユニバーサル仕様(世界仕様)」であることを示しています。
韓国の220Vは、この対応範囲内に完全に収まっています。したがって、電圧を無理やり100Vに下げるための、大きくて重い「変圧器」を持っていく必要は一切ありません。
必要なのは「変換プラグ」だけ
電圧の問題がクリアになった今、韓国での充電に必要な準備は非常にシンプルです。それは、物理的な形状の違いだけを解決する「変換プラグ」と呼ばれる小さなアクセサリです。
変換プラグは電圧を変える機能を持たず、純粋にプラグの形を変えるだけのアダプタです。使い方は簡単で、お持ちのiPhone充電器(Aタイプ)を変換プラグに差し込み、それを韓国の壁のコンセント(SEタイプ)に接続するだけです。
旅行の時短術|高速充電(PD)の活用
安全に充電できることは分かりましたが、どうせなら「速く」充電したいのが旅行者の本音です。古いiPhoneに同梱されていた5Wのアダプタも使えますが、充電速度は非常に遅くなります。
iPhone 8以降のモデルは「USB-C Power Delivery (PD)」という高速充電規格に対応しています。Apple純正の20W USB-Cアダプタや同等品を使えば、約30分でバッテリーを最大50%まで回復させられます。旅行中の時間は貴重です。カフェでの休憩や空港での待ち時間といった短時間で充電を完了させるため、小型で高出力なPD対応アダプタの持参を強く推奨します。
最適な変換プラグの入手方法ガイド
変換プラグは韓国現地でも調達できますが、最も確実でストレスがない方法は、日本出発前に準備しておくことです。
出発前の日本国内での購入(推奨)
日本国内では、予算や品質に応じてさまざまな場所で購入できます。家電量販店や旅行用品店で、韓国で主流の「SEタイプ対応」と書かれたものを選ぶのが最も賢明です。100円ショップの製品は安価ですが、Cタイプ専用で不安定な場合があるため、メインではなく予備として考えるのが良いでしょう。
購入場所の種類 | 具体例 | 価格帯 | 品質・信頼性 | 最適な用途 |
---|---|---|---|---|
大手家電量販店 | ヨドバシカメラ, ビックカメラ | 高 | 高 | 頻繁な旅行者、品質と確実性を最優先する方 |
100円ショップ | ダイソー, セリア | 最安 | 可変 | 一度の旅行、予備用、コスト最小化 |
ライフスタイル店 | ドン・キホーテ, 東急ハンズ | 中 | 中〜高 | 品質のバランスを求める方 |
空港の売店 | 各空港内ショップ | 最高 | 中〜高 | 緊急時、買い忘れた場合 |
韓国現地での緊急調達|注意すべき「逆向きの罠」
もし変換プラグを忘れても、仁川国際空港や金浦空港の売店、市内のコンビニ(CU, GS25など)、ダイソー、大型スーパーで調達できます。ただし、ここで重大な注意点があります。それは、韓国人が海外(日本など)へ行くために使う「逆向きのプラグ」を誤って買ってしまうリスクです。
店頭には「韓国の丸ピンプラグ(C/SE)を日本の平刃(A)に変換する製品」も多く並んでいます。急いでいると見落としがちです。必ずパッケージの図を確認し、「日本の平刃プラグが入力側で、韓国の丸ピンが出力側になっている」ことを確認してください。
忘れた時の最終手段|ホテルのフロントデスク
変換プラグを忘れたことに気づいたら、慌てて店に走る前に、宿泊先のホテルのフロントデスクに尋ねましょう。特に外国人観光客が多いホテルでは、貸し出し用の変換プラグを常備しているケースが非常に多いです。これが最も早くて確実な無料の解決策となります。
韓国の「充電インフラ」活用術
韓国は世界有数のIT先進国であり、街の至る所に充電スポットが整備されています。
空港とカフェ|韓国の充電文化
仁川国際空港や金浦国際空港は、到着ロビーから出発ゲートまで、至る所にコンセントやUSBポートが設置された巨大な充電ステーションです。
街中では、カフェが充電の拠点となります。スターバックスなどの大手チェーン店はもちろん、多くの個人経営カフェでも客席にコンセントが完備されています。観光途中の休憩と充電を同時に済ませられる、旅行者にとって非常にありがたい文化です。
街中のパワーポイント|駅・モール・案内所
充電スポットはカフェだけに限りません。COEXのような大型ショッピングモールの休憩スペース、ソウル駅などの主要駅や地下鉄構内、高速鉄道KTXの車内にも電源が設置されています。
明洞などにある観光案内所では、充電器の無料貸し出しサービスを行っている場所もあります。バッテリーがピンチになったら、周囲を見渡せば必ずどこかに充電できる場所が見つかります。
万全の備え|モバイルバッテリー戦略
変換プラグと街中のインフラがあっても、移動中に電源を確保できるモバイルバッテリーは最強のバックアップとなります。
持参する場合のルール|必ず「機内持ち込み」
使い慣れたモバイルバッテリーを持参するのが最も確実です。ただし、航空会社のルールを厳守しなければなりません。リチウムイオン電池を内蔵するモバイルバッテリーは、発火リスクのためスーツケースなどに入れる「預け入れ荷物」にすることは固く禁止されています。必ず「機内持ち込み手荷物」として携帯してください。
現地で借りる|バッテリーシェアリングサービス
重いバッテリーを持ち歩きたくない場合、韓国で急速に普及しているレンタルサービスが非常に便利です。代表的なサービスに「충전돼지 (チュンジョンデジ)」があります。
専用アプリで最寄りのステーション(コンビニ、飲食店、映画館など)を探し、QRコードをスキャンするだけで借りられます。返却は別のステーションでも構わないため、行動が制限されません。料金も非常に安価で、低コストでバッテリー不安を解消できます。
現地で購入する|コンビニとダイソー
緊急時には現地購入も一つの手です。コンビニでは1回使い切りタイプの小型バッテリーが売られています。ダイソーや家電店に行けば、日本と同じような充電式のモバイルバッテリー(韓国語で「보조배터리|ポジョベトリ」)も手頃な価格で購入できます。
まとめ
韓国旅行でのiPhone充電は、拍子抜けするほど簡単です。変圧器は不要であり、必要なのは「SEタイプに対応した変換プラグ」たった一つだけです。
日本であらかじめ変換プラグを一つ購入し、念のためモバイルバッテリーを機内持ち込み手荷物に入れるだけで、準備は万全です。万が一忘れても、ホテルでの貸し出しや現地での調達、充実した街中の充電インフラがあります。バッテリー残量を気にすることなく、韓国旅行を心ゆくまで楽しんでください。