韓国旅行の準備は完璧にしたつもりでも、現地に到着してから「あぁ、あれを持ってくればよかった」と後悔することは本当によくあります。特に韓国は、日本と似ているようでデジタル環境や生活習慣が大きく異なる国です。
私が実際に旅をして、心から「これがないと不便だ」と感じた瞬間が何度もありました。この記事では、旅行初心者が陥りがちな「準備の落とし穴」をふさぐため、私が本気で後悔した持ち物リストを、その明確な理由とともにお届けします。
デジタル・金融準備で後悔しないための必須アイテム
現代の韓国旅行は、スマートフォンと決済手段の準備が旅の成否を分けると言っても過言ではありません。物理的な荷物より、デジタル環境の整備が最優先事項です。
Googleマップが使えない?|必須ナビアプリ「Naver Map」
韓国では、Googleマップのナビゲーション機能が制限されており、正確な徒歩ルートや最新の店舗情報を検索できません。これを知らずに行くと、目的地にたどり着けず途方に暮れてしまいます。
韓国旅行における最も重要なデジタルツールは「Naver Map(ネイバーマップ)」です。これさえあれば、正確な徒歩ルート、リアルタイムの公共交通機関情報、乗り換え案内まで完璧に把握できます。私がソウルの複雑な路地裏で迷わずに済んだのは、間違いなくこのアプリのおかげです。
翻訳と連絡の生命線|PapagoとKakaoTalk
言語の壁を乗り越えるには、高精度な翻訳ツールが不可欠です。特におすすめするのは、Naverが開発した「Papago(パパゴ)」です。
韓国語の微妙なニュアンスを正確に翻訳し、メニューや看板をカメラで写すだけで翻訳できる画像機能は非常に強力です。もう一つは「KakaoTalk(カカオトーク)」で、これは韓国の国民的メッセンジャーアプリであり、タクシー配車サービス「Kakao T」の基盤にもなっています。
空港に着いた瞬間つながる「eSIM」という選択
安定したインターネット接続は、紹介したアプリ群を機能させる大前提です。従来のポケットWi-Fiは、機器の持ち運び、充電、紛失のリスクが伴います。
そこで私が推奨するのがeSIMです。eSIMは出発前にオンラインで購入と設定を完了できます。韓国の空港に到着した瞬間にインターネットへ接続できるため、時間のロスがなく、物理的なSIMカードの抜き差しも不要です。
韓国の決済戦略|WOWPASSとT-moneyの使い分け
韓国はキャッシュレス社会ですが、海外発行のクレジットカードが使えないローカルな店も稀に存在します。この問題を解決するには、複数の決済手段を組み合わせるハイブリッド戦略が必須です。
T-moneyとは?|交通特化のICカード
T-money(ティーマネー)は、韓国の公共交通機関を利用するためのICカードです。地下鉄やバスに乗る際に必須で、現金払いに比べて運賃割引や乗り換え割引が適用されるため、金銭的メリットが大きいです。
ただし、チャージは駅の券売機やコンビニで「現金(ウォン)」のみ対応という点を覚えておく必要があります。
WOWPASSとは?|両替・決済・交通の万能カード
WOWPASS(ワウパス)は、外国人旅行者の決済問題を解決する画期的なプリペイドカードです。主要駅に設置されたキオスク端末で、日本円の現金を直接ウォン建てでチャージできます。
空港や銀行よりも両替レートが優れていることが多いのが特徴です。韓国国内の多くのクレジットカード加盟店で使え、T-money機能も統合されているため、これ一枚でショッピングと交通をカバーできます。
クレジットカードと現金の役割
WOWPASSがあっても、クレジットカード(VISAやMastercard)は必要です。ホテルのデポジット(保証金)支払いや高額な買い物、WOWPASSが使えない場合のバックアップとして機能します。
現金(ウォン)も絶対に必要です。屋台での食べ歩き、東大門のような伝統的な市場での買い物、そしてT-moneyカードへのチャージは現金のみです。
これらの決済手段の特徴を以下の表にまとめます。
決済手段 | 主な利用シーン | 入手・チャージ方法 | 主な利点 |
現金 (KRW) | 屋台、伝統市場、T-moneyチャージ | 現地両替所、WOWPASSからの引き出し | どこでも使える最終手段 |
クレジットカード | ホテルデポジット、高額決済、バックアップ | 日本で発行 | ポイント還元、付帯保険 |
T-money | 公共交通機関(地下鉄、バス) | 現地の駅・コンビニで購入、現金でチャージ | 交通費割引、乗り換え割引 |
WOWPASS | 日常的な決済全般、交通 | 現地のキオスクで発行、日本円現金でチャージ | 優れた両替レート、幅広い加盟店、T-money機能統合 |
快適さを左右する!後悔しない衣類とフットウェア
韓国向けの服装は、ファッション性と同じくらい機能性を重視しなければなりません。四季が明確な気候と、ひたすら歩く観光スタイルがその理由です。
寒暖差が激しい季節(春・秋)の服装術|重ね着が鍵
春(3~5月)と秋(9~11月)は最も過ごしやすい反面、一日の中での寒暖差が非常に激しい季節です。この時期の服装で失敗しない唯一の原則は「重ね着(レイヤリング)」です。
ベースのTシャツ、中間のカーディガンやセーター、外側のアウター(薄手のジャケットやコート)という3層構造で考えます。特に9月は日中暑くても朝晩は急に冷え込むため、羽織るものが手放せません。
猛暑と極寒冷房対策(夏・冬)の必需品
韓国の夏と冬は、日本よりも厳しい気候に対応する準備が求められます。
夏の服装|屋外の暑さと屋内の冷房戦争
韓国の夏(6~8月)は高温多湿です。服装は通気性の良い素材が基本ですが、注意すべきは「屋内の冷房」です。地下鉄やカフェ、デパートは、寒さを感じるほど冷房が効いています。この急激な温度変化で体調を崩さないよう、夏でも薄手のカーディガンやシャツを一枚必ず携帯することが快適さの鍵です。
冬の服装|氷点下に対応する完全防寒
ソウルの冬(12~2月)は東京よりはるかに寒く、氷点下になることも珍しくありません。保温性の高いインナー、厚手のマフラー、ニット帽、手袋は必需品です。現地で「ロングペディン」と呼ばれる丈の長いダウンコートを購入するのも一つの手です。
毎日2万歩は当たり前|絶対に失敗しない靴選び
私が韓国旅行で最も重要だと断言できるのが靴です。ソウル観光は一日15,000歩、多い日には2万歩を超えます。
地下鉄の駅構内は階段が多く、地形的にも坂道が多いため、履き慣れた快適なスニーカーが唯一の正解です。デザイン性よりもクッション性を最優先するべきです。
あると便利なアクセサリー|高機能マスクとエコバッグ
春先は、黄砂(ファンサ)やPM2.5による大気汚染が深刻な日があります。健康を守るため、高性能なマスク(現地でKF94認証のものを買うのも良い)は自己防衛として重要です。
韓国ではレジ袋が有料、あるいは提供されないことがほとんどです。コンビニや市場での買い物のために、折りたたみ式のエコバッグは今や必須アイテムです。
小さいけど超重要!ないと本気で困る便利グッズ
旅の質を大きく左右する、小さいけれど重要なアイテムたちです。これらは「あってよかった」という安心感をもたらします。
日本と違うコンセント形状|変換プラグと変圧器の知識
韓国の電圧やコンセント形状は日本と異なります。これを理解していないと、持参した電子機器が一切使えないという事態に陥ります。
変換プラグ|CタイプまたはSEタイプの準備
韓国の電圧は220V、コンセントのプラグ形状は丸いピンが2本出ているCタイプまたはSEタイプです。日本のAタイプとは形状が異なるため、変換プラグは絶対に必要です。
変圧器|ヘアアイロン利用者の注意点
変換プラグと変圧器は別物です。スマホやPCの充電器は「INPUT: 100-240V」と記載されたグローバル対応品がほとんどで、これらは変換プラグさえあれば使えます。
しかし、日本国内専用(100V)のドライヤーやヘアアイロンを使う場合は、大型の変圧器が必要です。荷物になるため、海外対応製品を用意するか、ホテルの備品を利用するのが賢明です。
スマホ依存の旅|大容量モバイルバッテリーの重要性
韓国旅行は、ナビ検索、翻訳、決済と、あらゆる局面でスマートフォンを酷使します。バッテリーは驚くべき速さで減少します。
韓国でスマホの電源が切れることは、道に迷い、支払いもできなくなることを意味します。10,000mAh以上の大容量モバイルバッテリーは、もはや生命線です。
日本の常識が通じない|衛生用品と常備薬
日本では当たり前のサービスが、韓国では提供されないことが多くあります。
ウェットティッシュとポケットティッシュ
日本の飲食店では普通のおしぼりが、韓国では提供されないことがほとんどです。特に屋台で食べ歩きをする際、食事の前に手を拭くためにウェットティッシュは絶大な効果を発揮します。古いトイレにはトイレットペーパーがない場合もあるため、水に流せるポケットティッシュも携帯しましょう。
ホテルの規制変更|歯ブラシは持参必須
これは近年の重要な変化点です。韓国では環境保護規制の一環で、多くのホテルで使い捨ての歯ブラシや歯磨き粉の無料提供が禁止されました。これを知らないと、到着後に慌てて買いに行くことになります。
使い慣れた常備薬
慣れない環境や辛い料理で体調を崩すことはあり得ます。特に胃腸薬や頭痛薬は、使い慣れたものを日本から持参するべきです。現地で薬局を探す手間と不安を考えれば、これは重要なリスク管理です。
荷物を減らす逆転の発想|「あえて持っていかない」戦略
優れた旅行者は、現地の資源を賢く活用することで身軽さを手に入れます。意図的に「持っていかない」ことを選択し、現地調達を旅の楽しみの一部として計画に組み込む戦略です。
現地調達の宝庫|韓国ダイソーとオリーブヤング活用術
この戦略の中心となるのが「ダイソー」と「オリーブヤング」です。これらは単なる店舗ではなく、旅行者のニーズを満たすインフラです。
ダイソーで買うべきもの|人気ブランドコラボコスメ
韓国のダイソーは、日本の100円ショップとは一線を画します。VTやDintoといった有名コスメブランドとのコラボ商品が、数百円という破格の値段で販売されています。シャンプーやスリッパなど、万が一忘れたものも安価に解決できます。
オリーブヤングで試す|最新シートマスク
オリーブヤングのようなドラッグストアは街の至る所にあります。日本から最小限のスキンケアだけを持参し、人気のシートマスクや美容液を現地で購入してその夜に試す行為は、買い物ではなく「美容文化体験」そのものです。
これだけは日本から持参すべきアイテム
現地調達戦略を成功させるには、その対極にある「絶対に持参すべきもの」を区別することが重要です。
敏感肌用のスキンケア
肌がデリケートな場合、旅行中に新しい化粧品を試すのはリスクが高いです。普段から使い慣れた信頼できる製品を持参するべきです。
使い慣れた生理用品
現地でも購入できますが、ブランドやサイズ感が日本とは異なる場合があります。快適さと安心を優先するなら、使い慣れたものを持っていくのが最善です。
帰国のためのパッキング対策|緩衝材と圧縮袋
旅行最後の後悔は、お土産の破損です。帰りの荷造りを見越した準備も忘れてはいけません。
コスメの瓶などを保護するため、緩衝材(プチプチ)を少し持っていくと絶大な効果を発揮します。衣類圧縮袋も、特に冬の旅行でかさばる衣類をコンパクトにするために役立ちます。
まとめ
韓国旅行での「持っていけばよかった」という後悔は、その多くが事前の情報収集と戦略的な準備によって回避できます。成功の鍵は、韓国のデジタル環境、決済システム、気候、そして小売文化の特性を深く理解することに尽きます。WOWPASSとeSIMを準備し、変換プラグとモバイルバッテリーをバッグに入れ、足に合ったスニーカーを履く。これが、旅の本質的な体験に集中するための第一歩です。