韓国旅行は楽しいですが、決済(支払い)に関して面倒なことが多いと感じませんか。私が特に不便に感じていたのは、「両替」「交通カード(Tmoney)」「現金払い」の3つです。空港の両替はレートが悪く、市中の両替所を探すのは時間がかかります。
Tmoneyカードは別途購入する必要があり、チャージは基本的にウォン現金のみです。キャッシュレスが進む韓国でも、屋台やTmoneyチャージ機など、現金が必要な場面は残っています。これらの悩みを1枚で解決してくれるのが、外国人旅行者専用カード『WOWPASS(ワオパス)』です。
WOWPASSとは?韓国旅行の決済問題を解決する1枚
WOWPASSは、韓国旅行における決済の非効率性を解消するために開発されたカードです。私がこれほどまでにWOWPASSを推奨するのは、単なるプリペイドカードではないからです。
これまでの韓国旅行の「面倒」を解決
従来の旅行では、両替の手間、Tmoneyカードの別途購入と現金チャージ、現金しか使えない場面への対応、という3つの課題がありました。WOWPASSは、これらの課題をたった1枚のカードで包括的に解決します。
3-in-1の便利な機能
WOWPASSの核心的な価値は、3つの機能をシームレスに連携させた点にあります。
- プリペイド決済カード| 日本円などの外貨をチャージすると、ウォン建ての残高として韓国国内のほぼ全てのカード加盟店で使えます。
- 交通カード(Tmoney)| Tmoney機能が内蔵されており、別途カードを買う必要がありません。地下鉄やバス、タクシーで利用できます。
- 外貨両替キオスク| 空港や主要駅にある「WOWPASSキオスク(無人機)」で、日本円の現金を直接チャージ(両替)できます。
WOWPASSカードの発行とアプリ設定の手順
WOWPASSカードの入手は非常に簡単です。韓国に到着してからキオスク(無人機)で発行します。
カード発行に必要なもの
カードを現地で発行するために必要なものは、たった2つだけです。
- パスポート| キオスクでの本人認証(スキャン)に必須です。
- 日本円(現金)| 初回のチャージは現金(紙幣のみ)で行います。米ドルなど他の外貨にも対応しています。
キオスク(無人機)での発行手順
WOWPASSキオスクは、主要な地下鉄駅、ホテル、空港(仁川空港A’REX改札内など)に設置されています。
- キオスクの画面で言語を「日本語」に設定します。
- 「WOWPASSカード」から「新規カードを発行」を選択します。
- パスポートの顔写真ページをスキャンさせます。
- チャージする外貨(日本円など)を選び、現金(紙幣)を投入します。
- メンバーシップ入会費(発行手数料)の$5,000$ウォンがチャージ額から引かれます。
- カードが発行されます。
- 発行されたカードをすぐにキオスクに挿入し、「有効化(アクティベート)」を完了させます。
WOWPASSアプリの登録は必須
カードを発行したら、すぐにスマートフォンにWOWPASSの専用アプリをダウンロードし、カードを登録してください。私がこれを「必須」と断言する理由は、残高確認のためだけではありません。
WOWPASSの最も重要な機能である「決済残高からTmoney残高への資金移行」や、万が一の「紛失・盗難時のカード一時停止」は、アプリに登録しなければ利用できません。アプリはWOWPASSを制御するための「鍵」の役割を果たします。
WOWPASSの最重要ポイント|2つの残高(財布)を理解する
WOWPASSを使いこなす上で、私が最も重要だと考える概念があります。それは、1枚のカードの中に「2つの独立した電子マネー残高(財布)」が存在するという事実です。
財布が2つある?決済残高とTmoney残高の違い
WOWPASSカードは、内部的に2つのウォレットを持っています。
- ウォレットA|WOWPASS(決済)残高
- 用途|ショッピング、レストラン、カフェ、タクシーなど、店舗での「決済」に使います。
- 利用方法|店員にカードを渡し、決済端末に「挿入」して支払います。
- ウォレットB|Tmoney(交通)残高
- 用途|地下鉄、バスなど「交通運賃」の支払いに限定されます。
- 利用方法|駅の改札やバスの端末に「タップ」して支払います。
2つの残高は独立している
これら2つのウォレットは、自動的に連携しません。例えば、WOWPASS(決済)残高に$100,000$ウォンがあっても、Tmoney(交通)残高が$0$ウォンなら地下鉄の改札は通れません。
逆に、Tmoney残高に$50,000$ウォンがあっても、カフェでの支払いには使えません。この厳格な分離構造の理解が、WOWPASS攻略の前提となります。
機能比較表|WOWPASS残高 vs Tmoney残高
2つの残高の違いを以下の表にまとめます。特に「チャージ方法」と「紛失時対応」が決定的に異なります。
| 項目 | WOWPASS(決済)残高 | Tmoney(交通)残高 |
| 主な用途 | 店舗でのショッピング、飲食 | 地下鉄、バス、交通系タクシー |
| 利用方法 | ICチップリーダーに挿入 | 読み取り端末にタップ |
| チャージ方法 | 1. キオスクで外貨現金 2. アプリでクレジットカード | 1. (推奨) アプリで決済残高から移行 2. 駅券売機でウォン現金 3. コンビニでウォン現金 |
| 払い戻し場所 | WOWPASSキオスク | 地下鉄の駅窓口、対応コンビニ |
| 紛失時対応 | 保護される(アプリでロック後、残高再発行) | 保護されない(残高は失われる) |
WOWPASSのチャージ戦略|決済用と交通用の賢い入金方法
2つの財布(残高)の仕組みを理解したら、次は賢いチャージ方法です。それぞれ最適な入金方法が異なります。
決済残高のチャージ|キオスクでの現金がおすすめ
WOWPASS(決済)残高へのチャージは、キオスクでの日本円(外貨)現金チャージが基本です。
高レートで手数料無料
この方法の最大の利点は、両替手数料が発生しない点です。適用される両替レートも、空港の銀行や両替所より有利で、街中のレートが良いとされる両替所に匹敵します。両替所を探し回る手間を省き、到着後すぐに有利なレートでウォンを確保できます。
決済残高のチャージ|緊急時のクレジットカード
旅行中に手持ちの現金が尽きた場合、アプリ経由でクレジットカードからもチャージできます。ただし、これは「緊急用」と割り切るべきです。
このチャージ方法には、約4%から6%のサービス手数料が徴収されます。クレジットカード会社が設定する海外事務手数料も別途発生するため、キオスクでの現金チャージに比べて著しく高コストです。
Tmoney残高のチャージ|アプリでの「残高移行」が最強
Tmoney(交通)残高へのチャージこそ、WOWPASSの真価が発揮される場面です。私が最強と断言するのが、アプリによる「残高移行」機能です。
この機能を使うと、潤沢にある「WOWPASS(決済)残高」の一部を、不足している「Tmoney(交通)残高」へ電子的に移動させます。
- WOWPASSアプリを起動し、「Tmoneyチャージ」を選択します。
- スマートフォンのNFC部分にWOWPASSカードをタッチします。
- 移行したい金額(例|$10,000$ウォン)を入力します。
- 再度カードをタッチし続けると、チャージ(移行)が完了します。
この機能により、「日本円現金 → キオスク → 決済残高 → アプリ → 交通残高」という、ウォン現金に一切触れないシームレスな資金フローが完成します。
非推奨|Tmoneyの現金チャージ
もちろん、従来通り、地下鉄駅の券売機やコンビニのレジでTmoney残高にウォン現金でチャージすることもできます。しかし、これはWOWPASSの利便性を自ら放棄する行為です。
Tmoneyチャージのためにウォン現金を用意するなら、キオスクで決済残高からウォンを引き出す(手数料$1,000$ウォン発生)か、別途両替する必要があり、キャッシュレスという最大の利点を損ないます。
WOWPASSのメリット・デメリットを正直レビュー
WOWPASSは非常に便利なカードですが、もちろん完璧ではありません。私が実際に使って感じたメリットと、知っておくべきデメリットを解説します。
私が実感したWOWPASSの強力なメリット
WOWPASSを導入して、私の韓国旅行は劇的に快適になりました。
メリット1|両替所よりお得なレート
最大のメリットは、有利なレートで両替できることです。キオスクでの現金チャージは手数料無料で、レートも良好です。両替所を探し回る時間がなくなり、旅行の時間を有効に使えるようになりました。
メリット2|Tmoneyカードが不要
Tmoney機能が内蔵されているため、別途Tmoneyカードを購入する費用(約$4,000$ウォン〜)と手間が省けます。カードを2枚持ち歩く必要もありません。
メリット3|アプリでTmoneyチャージ完結
ウォン現金を使わずに、いつでもどこでもアプリでTmoney残高にチャージ(移行)できる点です。これは他のどの決済手段にもない、WOWPASSだけの圧倒的な強みです。
メリット4|決済の安心感
WOWPASSは韓国国内の決済ネットワークで処理されます。そのため、海外発行のクレジットカードが稀に拒否されるような店舗でも、問題なく決済できる安心感があります。
知っておくべきデメリットと注意点
便利なWOWPASSですが、利用前に理解しておくべき注意点もあります。
デメリット1|発行手数料がかかる
新規カード発行時に、メンバーシップ入会費として$5,000$ウォン(約500円)が初回チャージ額から引かれます。ただし、Tmoneyカードの購入費用や両替の手間を考えれば、十分に妥当な初期投資だと私は判断しています。
デメリット2|2つの残高の管理が必要
WOWPASS(決済)残高とTmoney(交通)残高が独立している点は、初心者にとって少し複雑かもしれません。この仕組みを理解しないと、「残高はあるはずなのに改札を通れない」という事態に陥ります。
デメリット3|Tmoney残高は紛失時に保護されない
これが最大のリスクです。カードを紛失・盗難された場合、アプリでロックすれば「決済残高」は保護され、再発行時に移行されます。しかし、「Tmoney残高」は保護されず、永久に失われます。
他の決済方法との比較|クレジットカード・NAMANE
WOWPASS以外にも、韓国旅行で使える決済手段はあります。それらとの違いを明確にします。
クレジットカードとの使い分け
WOWPASSは、旅行者が持参するクレジットカードと競合するものではなく、補完する関係にあります。
- クレジットカードが優位な点| チャージの手間がなく、高額な買い物(免税店やホテル)に向いています。ポイントやマイルも貯まります。
- WOWPASSが優位な点| Tmoney機能の統合、アプリでのTmoneyチャージ、優れたレートでの現金両替機能、決済の確実性です。
私の使い分け戦略は、高額決済はクレジットカード、交通と少額決済(またはクレジットカードが不安な店)はWOWPASS、と決めています。
NAMANEカードとの違い
WOWPASSとよく比較されるのが、NAMANEカードです。最大の違いはチャージ方法にあります。
WOWPASSキオスクは、日本円などの外貨現金を直接チャージできます。一方、NAMANEカードのキオスクは、基本的に韓国ウォン現金か韓国発行のカードにしか対応していません。
到着直後に外貨からチャージしたいという、旅行者の最も中心的なニーズに応えるのはWOWPASSです。
帰国時の払い戻しガイド|空港での注意点
旅行の最後に残った残高は払い戻しができます。ただし、ここにも「2つの財布」のルールが適用されます。
2つの残高は払い戻し場所が違う
WOWPASS(決済)残高とTmoney(交通)残高は、払い戻しの場所が異なります。まとめて精算することはできません。
決済残高の払い戻し方法
WOWPASS(決済)残高の引き出しは、WOWPASSキオスクでのみ行えます。
払い戻されるのは韓国ウォン(KRW)の現金のみです。日本円では戻ってきません。払い戻し(出金)には、$1,000$ウォンの手数料が発生します。
Tmoney残高の払い戻し方法
Tmoney(交通)残高は、WOWPASSキオスクでは払い戻しできません。
地下鉄駅の案内所(駅員窓口)や、Tmoney払い戻しに対応しているコンビニ(GS25, CUなど)のレジで行う必要があります。$500$ウォンの手数料が残高から差し引かれます。
重大注意|仁川空港キオスクでは払い戻しできない
旅行者が陥りがちな最大の罠が、空港での払い戻しです。
仁川国際空港(ICN)のA’REX改札内などにあるWOWPASSキオスクは、残高の引き出し(払い戻し)機能に対応していません。
出国直前に空港で精算しようと計画しても不可能です。空港に到着する前に、ソウル駅や明洞駅など、市内の払い戻し対応キオスクで決済残高の引き出しを完了させる必要があります。Tmoney残高も同様に、市内の地下鉄駅などで事前に払い戻しを済ませておくのが賢明です。
紛失・盗難時の対応(リスク管理)
万が一カードを紛失しても、アプリに登録していれば被害を最小限に抑えられます。
アプリで即時ロック
紛失に気づいたら、直ちにWOWPASSアプリを開き、「カードの一時停止」機能でカードをロックします。これで、決済残高の不正利用を防げます。
カードの再発行と残高移行
キオスクで「カードの再発行」を選択し、パスポート認証などを行えば、新しいカードが発行されます(手数料$3,000$ウォン)。ロックした古いカードの決済残高は、新しいカードへ自動的に移行されます。
注意|Tmoney残高は戻らない
繰り返しになりますが、最も重要な警告です。再発行時に移行されるのは「決済残高」のみです。「Tmoney残高」は戻ってきません。
このリスクを回避するため、私が実践しているのは、「Tmoney残高には$10,000$ウォン程度の少額をこまめに移行し、高額をチャージしたままにしない」という運用です。
まとめ|WOWPASSで韓国旅行をスマートに楽しもう
WOWPASSは、韓国旅行の「両替」「交通」「決済」という3つの面倒事を1枚で解決する、非常に強力なソリューションです。発行手数料5,000ウォンはかかりますが、両替所を探す時間や手間、Tmoneyの現金チャージの不便さから解放されるメリットは、それを遥かに上回ります。
特に、アプリを使ったTmoney残高への移行機能は、一度体験すると元には戻れないほどの利便性です。
この記事で解説した「2つの財布の仕組み」と、「Tmoney残高は低く保つ」というリスク管理を実践すれば、WOWPASSはあなたの韓国旅行を最高にスマートで快適なものに変えてくれます。私が自信をもっておすすめする1枚です。
